世界農業遺産および静岡の茶草場農法について
静岡県人の私がまとめてみました。
静岡の掛川というところには伝統的な茶草場農法という農法があります。
まあ他県の人には全く知名度がないと思いますので説明いたします。
世界農業遺産とは
世界遺産は誰でも聞いた事がありますが、世界農業遺産というのはあまり耳にしません。
世界農業遺産は世界で重要な農業の遺産システムということになります。
世界農業遺産の、国連食糧農業機関が2002年から制度です。
[Q.11]国連食糧農業機関が認定する「世界農業遺産システム」のアルファベット5字での略称は?
→GIAHS(ジアス)— 社並復習用 (@review_sya_nara) August 4, 2019
未来に受けつぐための重要な農業や生物多様性、農業景観を有する地域を 認定しております。
ユネスコの世界遺産と世界農業遺産の違い
世界遺産は京都や奈良の寺など不動産に対して認定をされているものになります。
過去の偉業に対して保存を重視する趣旨になります。
対して、世界農業遺産は、農業自体のシステムに対して重視します。
未来志向であり、伝統農法を後世に対して進めるという趣旨になります。
世界農業遺産が必要な理由
世界農業遺産には途上国と先進国とで意味が違ってきます。
途上国で世界農業遺産が必要な理由
発展途上国では世界農業遺産を認定することで農業システムを保全。
食料飢餓を減らすことで、再生産できる仕組みづくりを確保するというのが目的です。
まず食べるものがないとどうにもならないですしね。
先進国で世界農業遺産が必要な理由
先進国の一国として日本を例に説明します。
日本は農業と里山里地、高齢化・過疎化 担い手不足とうの問題が勃発しております。
各地域で行われている伝統農法が衰退の危機に直面しております。
これはどの農業でも当てはまる問題です。
技術的なものはAIでなんとかなるだろうけど、田舎の閉鎖性や人間関係が邪魔して進まないだろう。元の人口以上の人間が移住してきてどんと仕組みを変えるくらいしないと。
AIやロボットを使って、高齢化・後継者不足に対抗!スマート農業の可能性と日本が目指すべき方向性とはhttps://t.co/1DM1q0WKsl pic.twitter.com/Fv0Cx7tW0W
— 小幡英司 (@eijiobata) August 4, 2019
農業を大規模化するというのは、農法独自の独自性や生物多様性が失われる危険性があります。
茶が有機栽培しにくいのも、大面積の茶畑では虫が発生しやすくどうしても農薬を使わざる得ない状況になってしまうからだそう。
さらに 地域の伝統的な暮らしにも変化を強要されています。
あまり知られていませんが、日本各地に伝統農法が息づいて、それを守っている暮らしや文化があります。
伝統農法を重視する世界農業遺産は
日本の農業のあり方、食と自然を守り、農村の振興、価値観の見直しという形でも重要になります。
※そもそも市街化調整区域の絡みで、いきなり農地を破壊して建物を建てるというのは法律的にキツイという問題もありますが。農地に建物を建てるのは法律的に禁止されております。
市街化調整区域にありがちな風景 pic.twitter.com/pgNCCw6amn
— 悠々 (@figaro203) June 10, 2019
世界農業遺産の場所は
2019年現在 世界農業遺産の認定地域は世界では21カ国 57地域が認定。
そのうち、日本では11地域が認定され、中国の15地域に次いで2番目に多く認定されています。
日本の世界農業遺産認定地域は11地域。
そのうち静岡県では2地域、全国で唯一認定されているという強豪県。
1つが茶草場農法。2つがわさびの伝統栽培です。
ワサビ沢の畳替え、技術継承へ若手も参加 伊豆|静岡新聞アットエス
伊豆市の天城湯ケ島山葵組合は14日、伝統の畳石式ワサビ沢の石積みを組み替える畳替えを同市の組合所有のワサビ沢で行った。世界農業遺産に認定されているワサビ栽培を後世に継承しようと、若手も作業にhttps://t.co/Vu5iNdNWUj pic.twitter.com/jeuxLRo85Y
— 静岡ジン (@szgmt) June 15, 2019
静岡の茶草場農法は、石川県、新潟県に次いで3番目に農業遺産に認定されており全国的に見ても攻めの姿勢が伺えます。
ちなみに世界農業遺産は取得していても茶のGIマークは取得していないという謎の県が静岡県です。
静岡掛川の茶草場農法とは
静岡掛川の茶草場農法についての話。
静岡の茶草場農法がなぜ世界農業遺産に認定されたのか。
1つは良いお茶を作りたいという農家さんの努力。
2つは生物多様性が保全。
2つが両立をさせているということで、世界農業遺産に認定をされました。
静岡の世界農業遺産「茶草場農法」は大和の地でも僅かながら受け継がれて続いていますよ!
と自分でPR!
負けてられんと孤軍奮闘しております( ̄▽ ̄;) pic.twitter.com/Z4QLWK8v0r— jyatto(ジャット) (@jyattojr) March 23, 2018
ちなみにくまモンも体験したそうです笑
阿蘇と同じ時期に世界農業遺産に登録された『茶草場農法』ば体験したモン!茶草をカットして根元にまくんだモン☆ pic.twitter.com/cDCsIYfXiV
— くまモン【公式】 (@55_kumamon) January 28, 2016
静岡の茶草場農法の特徴
高品質のお茶の生産方法として昔から継承。
茶草場と呼ばれる場所に300種類以上の植物や固有種、絶滅危惧種が生息し、豊かな生物多様性が保たれています。
茶園と茶草場は、農家さんの生活と家屋の近くにあり、生活と息づいたものです。
1880年、明治時代にはかなり茶草場ですとか草地と呼ばれるところは日本各地にあったということですが、
経済発展、また都市開発により少なくなってきております。
高度経済成長期を境に今は減少傾向にあり草地というのは希少な存在です。
茶草場はどこにある
本当にお茶の茶畑、茶園のすぐ近くに点在しています。
茶草場農法の流れは主に晩秋から冬にかけて行われます。
農家さんは先ほどの茶草場と呼ばれる、茶園の近くにある草地から草を刈り取ります。
それを乾燥させて茶草場から搬出して、「かっぽし」と呼ばれる茶草を束ねたかたちで、茶園の近くにかっぽしを作って茶草場を干します。
干した茶草を細かく裁断。
(地域によっては裁断をしない農家さんも)
それを茶園の畝間、茶の木と木の間の土に投入して、それを自然と肥料としています。
これが茶草場農法と呼ばれる農法です。
かっぽしテラスというものが、掛川にはあります。
愛称「かっぽしテラス」 掛川・粟ケ岳山頂休憩所|静岡新聞アットエス https://t.co/wn3yPD6519 #静岡新聞
— 静岡新聞デジタル編集部【@S】 (@shizushin_news) May 31, 2019
続く
静岡の茶草場農法の効果の話。自然の有機栽培と豊かな土壌作りに最適。