日本茶アドバイザー養成スクールにて受けました講義についてまとめました。
かなりマニアックな話ばかりでしたので、意味不明なところがあるかもしれません。
できるかぎり簡単に解説していきたいと思います。
お茶はツバキ科
序章ということで話をしましたが、お茶はツバキ科に属します。
学名ではカメリアシネンシスと言います。
近いものに古くから日本にある山茶花があり、学名はカメリアササンカ。
また、椿は学名でカメリアジャポニカと言います。これらは全て近縁です。
世界のお茶は中国種とアッサム種に分類
世界のお茶の歴史は大きく分けて、中国種とアッサム種があります。
これは中国種で、だいたい大きくても指の長さくらいです。
アッサム種はインド、スリランカの方面でよくあり、手のひらくらいの大葉です。
大きいと足の大きさくらいになります。
小葉種の方が柔らかくてアッサム種の方が固く果肉が厚く渋いです。
なので、アッサム種を飲めるようにするためにはたくさん発酵が必要になります。
そうしないとかたくて渋みがあって飲めなくなってしまう。
小葉種は、柔らかく日本茶など新芽を楽しめます。
紅茶は主に中国種です。
ダージリン(インドの北の方にある)などは中国種の小葉種で、日本人に好まれる味です。
品種、産地、製造法による違いでさまざまなお茶が出来上がります。
→ここ大事
例えば、アッサム品種で産地がスリランカ(セイロン)、製造法は紅茶製造ですと典型的なセイロン紅茶になります。
静岡茶と深蒸し煎茶
日本の煎茶の典型的品種のやぶきた、産地が静岡県の牧之原、製造は深蒸し製造ですと典型的な静岡の深蒸し茶になります。
やぶきたは静岡県では九割、全国でも7割を占めていて、後のものは1桁です。
最近はべにふうきだとかでてきてますけど。まだ少数派です。
深蒸し製法というのは 蒸すときに深く長く時間をかけて蒸す製法です。
葉肉の厚いところ、硬い葉っぱのところに対して行うと 甘みが出てきやすく、少しまろやかになります。
代わりに香りが少し飛んでしまいます。
産地の特性で光が強く、紫外線が強いので果肉が厚くなります。
あるいはカテキンという渋みの成分をたくさん持つようになります。
紅茶と渋み、抗酸化力について
日差しが強ければ抵抗して渋みとカテキンが出てきてしまう。
カテキンが多すぎると渋くて飲みにくくなるのですが、それを和らげる方法として紅茶のように発酵させてできるだけ渋みを抑える製法が生まれました。
舌の受容体というものがあります。
渋が受容体に嵌る(はま)と人は渋く感じます。
渋くしない方法として、受容体に嵌らないようします。
紅茶というのはカテキンを酸化させてカテキン同士を順応させ、重ね合わせていき、分子を大きくします。
テアフラビンとかテアルビジンという物が出てきます。
そうすると受容体に嵌らなくなり渋く感じなくなります。
その間に、アミノ酸、ペクチン、砂糖などを加えると渋みがさらに減ります。
カテキンと順応物は同じポリフェノールです。
カテキンは風邪予防に、タンニンは柿渋などに色々なものに入っています。
ポリフェノールはインフルエンザの予防になります。
全て抗酸化力です。
紅茶も緑茶も烏龍茶も全て抗酸化力が入っています。
どういうメカニズムかというと、例えばトゲトゲした菌(インフルエンザや大腸菌など)に対してカテキンが菌に近寄っていき、菌を取り込みます。
取り込んだ後、菌はどんどん収縮し、最後は消滅します。
まとめると菌とカテキンはくっつきます。
抗酸化力があり菌を消滅させるということです。
紅茶にミルクを入れる理由
紅茶にオレンジやミルクを入れますが、ミルクを入れた際に紅茶が濁る現象がおきます。
それはミルクの中にあるタンパク質と紅茶のカテキンがくっつくことが原因です。
ミルクはタ風邪菌や大腸菌と同じタンパク質なので、タンパク質(ミルク)とカテキン(紅茶)がくっつき、膨張するため濁りとなります。
なぜミルクを入れるかというと、渋み緩和のためです。
渋みは旨味でもありますが、過ぎたるということもあります。
渋みの少ない日本茶とは違い、アッサム種は渋み多い品種なので渋み緩和が必要です。
そのため、ミルクあるいは砂糖を好んでいれる方が多いです。
紅茶にレモンやオレンジやワインを入れる理由
なぜオレンジやレモン、ワインを紅茶に入れるかというと、酸化したもの同士で相性が良いためです。
もともとミルクフレーバーにする用のお茶も作られており、日本では、茶葉の1割もないくらいを占めている「かなやみどり」という品種がミルク種とされています。
他にも、紅茶ダージリンなどでマスカットフレーバー、マスカットの香りがするものなどあります。
日本にも静岡の品種、香寿(こうじゅ)はぶどうの匂いがする品種があります。
マスカットレフーバーにワインなどを加えるのは肉にソースをかけるようなことです。
肉にかけるソースに肉汁を入れることがありますが、酸化したもの同士というのはそれと同様です。
西洋の人は味のないものに濃いものをかけるような傾向があります。
日本では素材を活かす、自然の旨味を引き出す料理が多いです。
そのような国民性がお茶にも表れていると思います。
ほうじ茶のクレームについて
油が浮いている事案
少し前にお茶はツバキ科と話しました。
コンビニなどでほうじ茶ラテを販売していますが、問屋業をしていて3年に1回くらいの頻度で表面に油が浮いているというクレームをいただくことがあるそうです。
その理由は、ほうじ茶炒る際に油が浮き茶葉の表面に油膜、油がにじむことが原因です。
椿油というものがある通り、脂質を含んでいるからです。
煎茶ではそういうことはほぼありません。
なぜほうじ茶で油が浮くようなことがあるかというと強く炒るため、中に含まれている油などの成分を外に出しているためです。
お茶が赤くなる事案
もう1つ、ほうじ茶に限りませんが、数年に1度くらいのクレームがあります。
それは液体が赤色だというものです。通常の煎茶、ほうじ茶の色は黄色やみどり、茶色が一般的です。
それがなぜ赤色になってしまうかというと、何煎も続けて淹れてしまうと黄色やみどりは抜けてしまい、最後に残る色素が赤い色素だからです。
クレームを入れられた方は10煎淹れていました。
特にほうじ茶は赤い色素が出やすくなっています。
お茶は酸性にも強い特殊な植物
お茶は秋などに変な時期に花が咲く割と強い植物です。
例えば松竹梅松という言葉はお茶に近いものがあります。
なぜこの言葉が喜ぶという意味なのか。
松は崖のてっぺんなど人が入らないところに生えます。
竹は放っておくとどんどん伸びる、繁殖力が強いです。
梅は冬に花が咲く強い植物です。
お茶は独特な植物で、あらゆる植物は土が酸性なのを嫌がるものですが、お茶は違います。
お茶は通常の植物に比較すると異常で、pH3で育てられます。
世界中を見てもかなりレアな植物です。
結論としては、酸性土壌はさまざまなミネラルを吸いやすい状態のためと考えられています。
お茶は身近ですが、少し変わった植物なのです。
お茶は人間と寄り添って長く生きている縁があるものです。
人間が火を使い、乾燥物として保存できる能力があることから始まり、カテキン、カフェイン、ビタミンなどさまざまな効能がありことを知り、さまざまな過程を経て、現在に至ります。
人間との関わりを持てたのは人間が火を扱えることが大きいと思われます。
お茶の流れについて再度復習
お茶の流れを再度確認すると、茶園で栽培、摘採します。
それを蒸します。
蒸すというのは酵素失活をすること(酵素の働き、活動を停止させること)で、家庭だと電子レンジでラップをして5分ほどでしなしなになると思うのですが、それが酵素がなくなった状態です。
その状態のものを揉み、乾燥します。揉むというのは、中の水分を引っ張り出すことです。
乾燥では、引っ張り出した水分を逃します。
その揉み乾燥という工程を4時間ほど繰り返します。
とても大変な作業です。
紅茶 烏龍茶の工程
紅茶は醗酵させ、揉み乾燥するだけです。
烏龍茶は醗酵途中で300度〜400度くらいの釜で釜炒りを行い酵素失活をします。
酵素が残っていると揉んだ時に酵素が暴れてしまい、出来上がったお茶が辛く苦いものになってしまいます。
なので、烏龍茶を炒る際はしっかり酵素失活をさせます。
紅茶は完全に醗酵しきっているため、酵素が暴れるようなことがないため、炒る必要がなく揉み乾燥だけで完成になります。
荒茶の篩分けについて
荒茶に茎など色々なものが付着していますが、その付着物をとる取るさまざまな機械があります。
茎の部分は白っぽく、葉の部分はみどり色をしているため、色を見分けるセンサーがついた機械に茶葉を流し入れて分けられます。
あるいは水分が入っているなどの違いで分けられることもあります。
分けられた茎は茎茶になったり、粉はふるいにふって粉末にして粉茶になり、一切ムダにところがありません。
そうして煎茶が出来上がります。
どのような種類があるかというと、煎茶、釜炒り茶、玉露、抹茶、番茶、ほうじ茶です。
基本的にお茶は陰で育ちます。
なので、日当たり良好すぎると渋くなってしまいます。
渋くなってしまうというのはお茶が陽(紫外線)から身を守るために渋を蓄えるということです。
ドリンク業界はカテキンが多い方が良いということでわざと渋いものを使っていることもあります。
※補足 カテキン単体を実習で使いましたが、ものすごく苦いです。
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